雪の中の少年

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「午後から平地でもすごい雪が降りましてね。心配していました」 「私は、どうやってここへ? あの少年は?」  それには、怪訝な顔をするマスターだ。 「ドアが激しく叩かれましてね。何だろうと思って表を見ると、雪の中お客さんが倒れていなさったんですよ」  自力で下山されたんじゃないんですか? とマスターは言う。 「お客さんの他には、誰の姿もありませんでしたけど」  自力で下山。  とんでもない。 「私は、遭難しかけたんです」  凌介は、ぽつりぽつりと語った。  何とか山小屋にたどり着いて。そこにいた少年に、いろいろと助けてもらって。 ……そして、夢のようなひとときを過ごした、とまでは告白しなかったが。
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