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「こんにちは、マスター」
「いらっしゃいませ……あれっ、お客さん確か1年ほど前に」
「あの時は、どうもご迷惑をおかけしました」
凌介は、再び冬の高原を訪れていた。
あの不思議な出来事から、1年。マスターの淹れたコーヒーは、相変わらず美味しかった。
「じゃあ、そろそろ行くかな」
「お客さん、外は雪ですよ! 今から山へ登ると、また遭難しますよ!」
「実は、それが狙いで」
え? と怪訝な顔のマスターにウインクをすると、凌介は颯爽とカフェを出て行った。
「わざわざ進んで遭難しに行くなんて、妙なお客さんだ」
まぁ、昨年よりはまともな格好をしていたし、雪もさほどひどくはならない予報だ。
大丈夫だろう、とマスターは凌介の背中を見送った。
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