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4駆を走らせ、雪の高原に着いた。
降り立つと、積雪はすでに膝の辺りまで来ている。
「いい感じだぞ」
昨年も、これくらい積もってたっけ。
白い息を吐きながら、撮影を続けた。
時々、背中のカメラバッグを意識する。
1年前に比べて、ずいぶん軽い。
それもそのはず、今回この中には撮影機材など詰まっていないからだ。
中に大切に収めてあるのは、美味しいと評判のチョコレート。
それから、凌介の好きなブレンドのコーヒー豆に、明るい色のセーター。
全部、晶へのプレゼントだ。
激しい情熱と奇妙な確信が、凌介を再びこの地へいざなった。
「晶、俺はここだ。早く逢いに来てくれ」
凌介は両腕を広げ、降りしきる雪を一心に抱き留めた。
二人の再会が叶ったかは、白い雪だけが知っている。
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