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「僕、榊原 晶(さかきばら あきら)っていいます」
「私は、相川 凌介だ」
「相川さん、写真撮られるんですね」
「ああ、そうだよ。機材が壊れてなければいいけど」
部屋の隅にまとめて置かれた、カメラや機材。凌介は立ち上がると、その中からカメラを手にして戻ってきた。
「どうしても、冬の高原を撮りたくってね」
液晶画面に、午前中撮った写真を映して見せると、晶は眼を輝かせて喜んだ。
「すごい……! 相川さんは、プロの写真家ですか?」
「アマチュアだけどね。カメラは大好きなんだ」
気が付くと、晶はぴったりと凌介に身を寄せて液晶をのぞき込んでいる。
その時、ふと二人の手と手が交わった。
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