雪の中の少年

6/22
前へ
/22ページ
次へ
「僕、榊原 晶(さかきばら あきら)っていいます」 「私は、相川 凌介だ」 「相川さん、写真撮られるんですね」 「ああ、そうだよ。機材が壊れてなければいいけど」  部屋の隅にまとめて置かれた、カメラや機材。凌介は立ち上がると、その中からカメラを手にして戻ってきた。 「どうしても、冬の高原を撮りたくってね」  液晶画面に、午前中撮った写真を映して見せると、晶は眼を輝かせて喜んだ。 「すごい……! 相川さんは、プロの写真家ですか?」 「アマチュアだけどね。カメラは大好きなんだ」  気が付くと、晶はぴったりと凌介に身を寄せて液晶をのぞき込んでいる。  その時、ふと二人の手と手が交わった。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加