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「ヤッホー!たっ君!元気してるー?」
毎日のように来てくれる幼馴染の巡京香。
この状態の僕に『元気?』なんて他の人は誰も言わない。
見たらわかる事だから。呼吸をしているのも機械任せ、心臓だっていつ止まるか分からない。
元気である筈が無い。
なのに彼女は聞いてくれる。元気かと。
返事も出来ない僕にいつも。
僕はそれが何より嬉しい。『人』として扱われているようで。
「あのね!今日は体育でバスケしたの!こつ…ダムダムって!それから…」
京香はここに来ては毎回その日学校で起きた事を色々と身振りを交えながら教えてくれる。
学校にも行けない僕が少しでも行ったつもりになればと。
いつ死んでもおかしくない僕が死にたくない、少しでも長く生きていたいと思えるのは京香の存在が大きい。
伝えられないから知らないだろうけど、感謝してもし足りないくらい感謝してる。
「たっ君はさ、動けるようになったら何食べたい?私甘いもの好きだから一緒に甘いもの食べに行く?」
そんな奇跡が起きるならなんでもいい。自分の口でもう一度何か食べられるなら。
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