0人が本棚に入れています
本棚に追加
何度も同じ事を繰り返し、僕の周りには様々な機械が置かれていた。
何に使うのかはよく分からないけど、この全てが僕の命を繋いでいるという事だけは知ってる。
「今日も来たよー!たっ君!」
生きているのか、生かされているのか分からなくなっても京香は来てくれた。
「今日はね…じゃーん!こんなの持って来た!」
鞄から取り出されたのは2つの指輪だった。
「これから結婚式の予習しよ!じゃないと本番で緊張しちゃうから!」
結婚式か…京香と結婚出来たらどんなに幸せだろう。
「えーっと…んー…?結婚式って何するんだろうね?」
何も調べないで来たんだろう。京香らしい。思いついたからやってみる、いつもそうだから。
「とりあえず、せっかく持って来たから指輪の交換ね!」
動かなくなった僕の腕をそっと布団から出して手を取った。
「細いね…細い…」
必死に笑顔を作っていても目からは涙が流れ落ちている。
それでもやめようとはせず、僕の指に指輪をはめてくれた。
「交換だよ?交換。私からはあげたから、あとはたっ君から!待ってるから私!」
ありがとう京香。
でもね、待っていてくれなくていいんだ。
もう来てくれなくていいんだ。
僕はもう充分幸せを貰った。ありがとう京香。
後は京香が幸せになってくれたら僕は何もいらないよ。
最初のコメントを投稿しよう!