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「たっ君!!」
もう目も開かない。何も見えない。
けど京香の声は聞こえた。
なんで来ちゃったの?
きっとまた泣いてる。けど、これで最後。もう僕の為に泣かなくていいんだ。
最後まで辛い思いさせてごめんね。
「指輪!まだ私指輪貰ってないよ!?頑張ってよたっ君!!」
…無茶言わないでよ。
指輪どころか心臓すらもう動かせないよ僕。
「…たっ君?」
頬に暖かい何かが伝うのを感じる。
…あぁ、こんなになってもまだ僕、泣けるんだ。
京香に幸せになって欲しい、それだけが僕の望み。
だけど、もう一つ、もう一つだけ願っていいなら神様。お願いがあります。
京香に気持ちを伝えたい。お別れを言いたい。
今までの感謝を伝えたい。
大好きだって言いたい。
動かなくていい、死んで地獄に落ちても構わない。
ただ一言、たった一言だけ。
僕の心を支えてくれた人に、一言だけ。
「たっ君!!!」
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