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そんなある日、僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。
(あぁ…この夢か現実になれば良いのに。)
そう考えている間も、僕の名前を呼ぶ声が止むことはなかった。火種のような期待を抱きながら机に伏せていた顔を上げると…一人の男の子が机の側に立っていた。名前は…わからない。少し前までクラス全員の名前を覚えていた筈なのに、いつの間にか思い出せなくなっていた。
「壮馬くん!ぼくとあそぼ?」
言葉がでなかった。遊ぼう?僕と?何かの間違いじゃないかと耳を疑った。そんなことを言われたのはいつ以来だろう。
「壮馬くん?」
「えっと……君は?」
「寝ぼけてるの?晃だよ。佐藤 晃!」
「晃くん。嬉しいけど、僕とは遊ばない方がいいよ。」
「どうして?」
「だって、僕は皆から嫌われてるから。僕と一緒にいると君まで嫌われちゃうかもしれない。だから…」
僕の言葉の間に少し強い口調の声が割って入った。
「周りなんて関係ないよっ!!ぼくは壮馬くんと遊びたいんだ!ぼく君とずっと話したかった。だけど、皆が君を避けていたから、いつ話しかけたらいいかわからなくて。皆が君にひどいことを言っていたときも、止めようと思ったんだ。でも、勇気が出なくて、怖くて出来なかった。ごめん…。」
嬉しかった。僕のことを見てくれてる人がいた。それだけで、ほんの少しすくわれた気がした。晃の言葉が続く。
「でも、ぼく気づいたんだ。皆に合わせる必要なんかないって。それが誰かを傷つけてしまうことだって分かってる自分に嘘をつかなくてもいいって。君にひどいことをしたのはわかってる。でも、君のことをもっと知りたいんだ。
だから…僕と友達になって!」
この時、晃が僕の世界に火を灯してくれた。
(初めて感じたこのぬくもりを一生育てて歩こう)
と、誓ったはずなのに…僕は。
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