僕に戻る時間

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「あなたは何色が良いの?」 昔は真っ白なキャンパスに【自分の色】で描いて良かった。 けど、いつからか… 「現実を見ろっ!」とか「もう、子どもじゃないんだから!」って。 僕の色が入っていたはずのバケツは、いつの間にか空っぽになって、別の色が入っていた。 描きたくなかった。 だって、これは僕の色じゃないから。 だけど、1人の意見なんて通らない。 「どうせ…」「せいぜい」「所詮」 そんな言葉に負けて、自分を出すのが怖くなって、僕はキャンパスを 【準備された色】でゆっくり描き始めた。 そんな僕を大人たちはとても褒めてくれる。 でも、嬉しくなかった。 楽しもうとした。自分の色だと言い聞かせた。 けど、自分に嘘をつくのが…演じるのが辛くて。 いつからか描くことを止めた。
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