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『明日世界が終わるなら、お前は今日をどう生きる。』
なんて。
大人になった今でも、飲みの場になるとたまにそんな話題がでたりする。
好きなものを食べたいだけ食べる
とか
好きな女とヤる。
とか
自殺する。
とか
まぁ人の意見はそれぞれだ。
しかし俺は1度も答えを出せたことがない。
そんなの訪れるわけないんだから、わかんねぇよ。って。
そんな世界の終わりの話を考えながら今日も今日とて帰路につく。上司に仕事を押し付けられたせいで年末なのに終電帰り。人にもよくぶつかって何度か転びそうにもなった。なんとなく今日はツイてない。
そう思った矢先だった。
どこかの大型ビジョンから、耳を劈くほどの大きな音が鳴る。
街を歩く終電帰りの会社員も飲み会が終わって酔っ払った大学生達も一斉にそちらを向いた。
そこに映し出されたのは慌てた様子のキャスターの女性とVTRが写し出せるモニターだった。息も絶え絶えの女性はこう語る。
「明日!!世界が終わってしまうかもしれません!!」
街がざわめき、皆冗談だと笑い飛ばしたが、その笑いは次の瞬間に消えてなくなる。
モニターに映し出されたのは、少しずつ、地球が消えていく映像だった。日本の真裏から、何故そうなっているのかも理解できないほど綺麗に宇宙に溶けていく。
「専門家が計算したところ、地球が全て消えるまでのタイムリミットは24時間だそうです!!専門家達はー」
有り得ない。そんなはずない。そう思いたかった。でも、VTRに写るそれは、信じるには十分すぎるほどの事実だった。
街が悲鳴をあげる。
人が走り出した。
怒号、泣き声、狂ったように笑う声。
俺は呆然と立ち尽くした
『明日世界が終わるなら、お前は今日をどう生きる?』
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