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12月31日 午前7:00
いつも通りベッドの上で目を覚ます。何事もない静かな朝……かと思いきや外はクラクションの大合唱。いつもは車通りの少ない道のはずが、カラフルな鉄の塊でぎっしりだ。
『明日!!地球が終わってしまうかもしれません!!』
思い出した昨日の出来事を
嘘でした。
と世界を騙したドッキリだったら良いなと思いテレビをつけた。が、そんなオチはなく、どのチャンネルに変えても
「世界滅亡」
「地球消滅」
「日本に明日はやってこない」
どれも世界が終わる事実を訴えるニュースばかり。
もう癖になってしまった動きをしながら、テレビのニュースを見ていた。
食パンとコーヒーという質素な朝食を食べ、出勤の準備に取り掛かる。
「……こんな時まで仕事なんて、俺って相当社畜だったんだなぁ」
ぽつり独り言が零れた。
午前8:00
慣れた道を歩き、職場へ向かう。何もこんな時に仕事に行かなくたって、と思うかもしれないが、いかんせんどうしていいかがわからない。なぜなら俺はかつてされた質問に答えられてないからだ。その答えが今でも出ないらしい。あいつらは好きなものを食べまくって、好きな女とヤりまくって、自殺でもするんだろうか。それともあのカラフルな鉄の塊の中にいて、逃げ場所を探しているんだろうか。
俺は何をすれば幸せに終われるんだろうか。
両親は他界していないし、愛する人もいない。人と関わってこなかったせいで、友人と呼べる人すらもいない。逢いに行く人がいない。
特に好きな食べ物を食べたいとも思わない。俺、そんなに飯食えないし。好きなこと…なんてのも大人になってからは失くしてしまった。昔はゲームとか好きだったんだけどな。
幸せを探してみても、まるで俺には見つからない。
なんというか、年を重ねるにつれてつまらない人間になってしまったなと思う。
なんて考えてる間に目の前は会社の入口だった。
入ってみるが誰もいない。
いつも通り自分のデスクに座ってみる。
『こんなんで終わっていいのか……俺』
いつも通り仕事が始まる合図がなった。
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