作家の夢を諦めて、サッカーサポーターになって。

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 選手たちは、改めて一礼して、下がってゆく。その顔は、まだやるぞ、戦うぞという決意に溢れていた。その背中を見て、サポーターたちはひたすらに声援を送り続けた。天も割れよとばかりに、スタジアムに声援がこだまする。  負けたというのに。 (この闘志はどうだ!)  僕は、ただただ圧倒されて。この時になってやっと、皆が、サポーターも含めて皆が戦っていることを感じることができた。 「……」  同時に、胸中むくりと起き上がるものがあった。 (そういえば、ノベルスタはちょくちょく賞イベントやってるな。そこで力試しに応募するのもいいかな)  もう、小説を書くのはやめた。アカウントをつくってた小説投稿サイト・ノベルスタは放置状態だった。が、そこでは賞イベントがよく開催されているのを思い出した。 「それじゃあ、次節に」 「うん、次こそ勝とうな」  そう言って、仲間と握手をした。その握手で、またぬくもりを感じた。 (書こう)  握手のぬくもりに触発されてか、もうひとりの僕が、諦めを払って、そうつぶやいた。  それぞれの車に乗り込み。家路につく。  車中、ハンドルを握りながら、諦めない選手やサポーターたち、そして仲間の手のぬくもりを思い出していた。  諦めの幕を下ろした僕の心を、サッカーの選手やサポーターたちと、仲間の手のぬくもりが振り払ってくれた。  その日から毎日、僕はパソコンに向かい。あーでもないこーでもないと、空想にふけってキーボードを叩いていた。
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