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  「其方名は何と言うたか」 「朔夜(さくや)と申します」 「姿を見せぬ月か。よい名だなー」 「主さん、先々月もおんなじ事言いましたやん」 「そうかそうかー」  弥助(やすけ)め。  同じ顔は二度連れて来るなとあれ程言い置いたのに。 「見世の子らみーんな、月末が来るとそわそわしよります。大山の親分さんのお眼鏡に(かの)うたら、お山以外に新地を出られてお腹いっぱいご馳走も食べられるゆうて」 「そうかそうか。たんとお食べ。ほらあーん」  朔夜はこの地の名産、穴子の天ぷらを美味しそうに頬張る。可愛いの。
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