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「サンタクロースってのは、良い子にプレゼントを配るんだよ」
「プレゼントを」
「そうさ」
「それは、素敵ね。頑張って」
「おいおい、お前にプレゼントをわたしにきたんだぜ?」
「わたしに? どうして? 良い子じゃないわ」
「良い子さ。この世界最後の良い子だ」
「頭の良い子なら、フリードリヒがいるわ」
「あいつにはもうわたしてきた」
「バルナとペペは、わたしよりもずっとがんばり屋」
「そいつらにもわたした」
「フレデリックは、ちょっとお調子者だけど、良い子なのよ」
「ああ、知ってるよ」
「それから、それから」
「皆、プレゼントをもらったよ。最後はお前だ、ユイ」
「わたし、もらっていいの?」
「ああ、なんだってやるよ」
なんだって。何が良いだろう。
何かほしいものなんて、あるだろうか。
……これでも、いいのかな。
「なんでもいいの?」
「ああ。なんだ?」
「もしも出来るなら、眠らせて」
ああ、驚いてる。やっぱり、無理なのかしら。
「……ああ、お安い御用だ」
そう言って、さんたくろーすはわたしのおでこに触れた。たぶん撫でてくれているのか、それか、おでこの髪の毛を、はらってくれているんだ。
わからないけど、くすぐったい気がした。こんな気持ちは、久々? なのかな。
体中から、力が抜ける。本当に、眠れそう。ああ、やっと、これで、眠れるのね。
どんな夢を見よう。素敵な夢がいい。フレデリックとバルナとペペがふざけていて、メアリが呆れた顔して、それをわたしは、ただ見るの。フリードリヒはきっと、混ざろうとはしない。でもきっと、お話は出来るわ。
もしかして、こういう気持ちの時に、言うのではないかしら。だって、特別な言葉、なんでしょう?
「めりーくりすます」
「メリークリスマス」
おやすみ、皆。
あ、思い出した。思い出したよ、キャサリン。
二人で、一緒に――。
END
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