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幸い、僕はそこに関して融通が利く立場にあったため、この機会を獲得できたわけだ。
相手の若い刑事は、僕のことを胡散臭い野郎だと見下しているような……、いや、軽蔑している目を向けていた。
事件をネタにして、糧にしようって考えが気に入らないのだろう。
尤も僕は、他人の評価や世間体など、興味がないので、そんな視線の抗議は何も感じない。
僕は、頭部が吹っ飛んだ男の写真をもう一度、じっくりと眺めた。
首の肉片に白い米粒みたいなものが映っている。肉肉しい赤の中に、白い粒がちょこんとくっついているのは注意深く観察しないと気が付かなかったかもしれない。
「こいつは、ウジムシですね」
「そうだ。……あんた、ほんとモノ好きだね」
僕に対して、『お前、変態だろ』と言わんばかりの眼を向けている刑事に、僕は特に反応しなかった。
「路上で死んでるみたいですけど、ウジが寄ってくるまで放置されてたんですか?」
「発見は直ぐだった。でもまぁムシってのはどこからでも沸いてくるもんだ。死んで僅か三十分の死体でも、ムシにたかられることだってある」
「都内の路上で、頭を吹っ飛ばされて死んだ。それも、昼前の明るい時間に」
「その通り。だから、最初はすぐに犯人は見つかると思った」
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