清潔な洋菓子

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「夜雨さー、だいぶいい感じだよねー。いいねぇ」  そういう三奈ちゃんは女子バレー部で、男子バレー部の同級生と付き合って五ヶ月くらいだ。 「いいなぁ。私もバイトしよっかな」  始実は全然色めいた話がなくて、今まではずっと三奈ちゃんの彼氏との話を、私と二人で羨んでばかりだった。 それがこの数週間は、私にも羨ましがられる権利が回ってきたのだ。 三奈ちゃんとは対等に恋の話ができるようになったし、始実には悪いが快感でしかなかった。 「でも、バド部はバイト禁止でしょ」 「そうそう、悲しいよ。バドはろくな男子いないし、コーチも女の人ばっかだし」  始実はそれなりにバドミントンが強い。 その上、勉強もできる。 そんな始実に彼氏ができてしまったら、この三人の中での私の立場がない。 どうか始実にはこれからも勉強と部活に勤しんでいてもらいたいと、密かに願ってしまう。 「夜雨ちゃん、学くんとどっか行ったりしないの?」 「行きたいよぉー。行きたいけどさー。すごい忙しいみたいで。なんて誘ったらいいか迷っちゃう」  さりげなく、学くんに休みの日の予定を聞いてみたことは何度もある。 「なんか大学は指定校推薦を考えてるみたいで、今から成績キープしとかなきゃいけなくってよく勉強してる」 「夜雨、一緒に勉強しようって言ってみればいいじゃん」 「言ったことあるよ。でもね、お姉さんと家事分担してるから、早く家に帰りたいんだって。だから寄り道はできないし、土日もなんだかんだで忙しそう」 「ええ、えっらーい」  ひっくり返りそうなリアクションで、始実が叫んだ。 「二人暮らしなんだっけ」 「うん……」
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