清潔な洋菓子

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そうなのだ。これを聞いたときは私も驚いた。  学くんは優しい。いつも明るくて、清潔な感じがする。  でも両親がいない。 「うち、姉ちゃんとふたりだからさ」  何かの話の流れで、彼がそういった時、はじめ「きょうだいが」という意味なのかと思った。でも違った。 「親はいないから」  ただそれだけで、なんでいないのか、いつからなのか、自分からは語ってくれない。 常にハキハキしている学くんが、この時ばかりはあまりにも歯切れが悪くなってしまったので、私はそれ以上何も聞けなくなってしまった。 「じゃあ、バイトしてるのもきっと、家計のためだよね」  始実が言う。 「うん。お姉さんも働いてるみたいだけど」  正直、高校生が生活のために働いているとか、家の中のことをしているといったことを目の当たりにしたことはなかった。 そういう人が居るということは知識として知っていただけで、親のいない生活がどんなものなのか全然想像がついていなかった。  そういったところも含めて、学くんは大人に見えた。
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