内気なキミに。

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まただ。 今日も君と目が合った だけどいつもみたいに すぐ逸らされて 俺は凹む なんだよ。 微笑みかけるだけで たいていの女子が疼くって噂の キラースマイルってやつ、 放つ隙すら ねえじゃんか。 しかもその後に話しかけてきた三年の男と廊下の片隅で何やら密に話し込んでるし。 くそ面白くない。 俺はバスケ部の部室に向かうため 廊下を彼女に向かって歩いてく ああ むかつく このままじゃなんか イライラする。 もう一度、俺の方 見てくんないかな。 彼女の直ぐ側を通った時 彼女が両手に抱えていたファイルから シャープペンシルが転がり落ちた 俺は咄嗟に拾おうとしたら 彼女の手に触れて 見上げたら 至近距離に彼女がいた 初めてちゃんと視線が合って 急激に顔に熱が集まっていく なんだよ、嘘つきじゃねえか。 彼女のこと、クラス一地味で目立たない大人しい子なんて言ってた鈴木(あいつ)、 一生許さね。 君が今 真っ赤になってて すっげー 可愛い。 『付き合いたい』 ボソッと漏れた心の声に 周りの女子が騒ぎ出す 『っ、えっ、と、あの…』 慌てる俺と ポカーンとした彼女 と、彼女と親しげに話していた男が口を挟む。 『あ、もしかして、彼?お前がいつも話してた…』 『ちょ、ちょっと、お兄ちゃん!』 男の口を手で塞ぐ彼女は必死で やっぱり可愛い 『兄貴なんだ…』 だけど、俺に集中する 皆の好奇の視線に耐え兼ねて 脱走だ 『ちょ、ちょっと待って、離して…』 彼女の腕を掴んで走り出す こういうの やることってあるんだな 『いいから来て』 ちょっと乱暴にしてゴメン ついた屋上で謝って ちゃんと彼女と向き合って 告白をした 『さっきのマジだから』 『……わ、わたしなんかでいいの?』 『なんかって?』 『だってわたし……地味だし暗いし…神楽君みたいに皆に注目される存在じゃないし』 『だから?』 『もし……付き合っても楽しませてあげられないかも…』 彼女は俯いた。
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