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「ああはい。うちで家政婦をしてました」
「親父を殺して捕まってるんでしょう?ろくでもない女だ」
雅人が毒を吐く。
「そのことなのですが、我々で改めて再捜査した結果、意外な事実が判明しまして」
「といいますと」
雅人の眉がピクリと動く。
「冤罪なのですよ、実は」
仰々しく言いながら、水嶌が持ってきたビジネスバッグから数枚の写真を取り出す。
「一昨年の夏、ここから10キロ離れた芳子さんのご実家近くで撮られたものです」
防犯カメラの映像を引いたものと拡大したものをプリントアウトしたものだ。
「どこからそんなものを…」
弥生が呆れる。
「まさに犯行日時の記録です。殺害方法を鑑みても、こちらにいらっしゃらないことは明白ですね?」
写真を仕舞うと、
「然るべきところに提出しても構いませんが、こんなことで裁判を起こされても財産は減るだけです」
「裁判なんて…」
環が青ざめる。
「ちなみにですが、ここにいらっしゃる皆さん、大翔くん以外と申し上げた方がいいですか。冤罪捏造で相続権はなくなりますが」
玖美さんがバッサリ切った。
「つまり、相続権があるのは大翔くんと麻衣さんの2人だけ、ということです」
「僕?!」
大翔が驚く。
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