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その後も慎は何故か事あるごとに
「なぁ、コリアンダーンって知ってるか?」とか、
「なぁ、このバンバン爺さん、面白いぜ」とか何故か僕に話しかけて来た。
──なんだこいつは…?
そう思いながら適当に返事をしていたある日、慎が一言ぽつりと
「お前、本当に何が好きなんだよ?俺ネタ尽きちまったぞ…」と残念そうに言った言葉で、漸く慎の真意が分かった。
「…僕は昔、照り焼きまん観てたよ」
僕がそう言うと、慎は「ぱあぁっ」という効果音が付きそうなくらい、嬉しそうに笑った。
「おぉ!それ忘れてたぜ。照り焼きまん、面白かったよな!な、和也はどのキャラが好きだった?」
「僕はタルタル照り焼きが好きだったよ」
「タルタル照り焼きいいよな!あのタルタルが無くなる覚悟での闘い!あれは痺れたぜ」
「草木はどのキャラが好きだったの?」
初めて、僕から慎に質問をすると、慎はより嬉しそうに笑った。
「俺のことは慎でいいぜ!そうだなぁ、俺はチキン照り焼きまんが好きだったな!」
慎は真っ直ぐに「榊和也自身」を知ろうとしてくれた、初めての人だった。
それ以来、僕たちはいつも一緒にいるようになった。
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