あの子との出会い

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ボクの古い記憶では、生まれたのがどこかの家の庭だったことは覚えてる。気がつくと1番元気な兄弟以外が外に出されていて、その中でもボクはすぐにおいて行かれた。弱いやつは置いていかれる、切り捨てていかないと強いやつも死んでしまう。そういうものだと、ひとりで生きてるときに野良猫に教わった。灰色の、精悍な猫だった。ボクも本能的に理解していた。けれど、どこかでボクはぬくもりを求めていた。やっぱりボクは猫らしくはないのかもしれない。ボクは生き方を教えてくれた精悍な猫につきまとい、一緒に生活した。精悍な猫はうっとうしそうにして何度も独りで生きろと怒られたけれど、結局諦めた。ボクは精悍な猫の行くところについていって、エサをとっていたらボクも近くで取って、食べ始めたらそばで食べる。眠るときは隣で眠る。ただそれだけを繰り返し後をついて生きていった。なにがしたいんだと聞かれたことがある。迷惑はかけないと答えたら、ならば独りでいいだろうと言われた。確かにそうかもしれないけど、一緒の方が寂しくないと言ったら意味がわからないと言われた。ボクもボクがどうしたいのかよくわからない。猫らしくない生き方なのはわかっている。
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