あの子との出会い

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精悍な猫は車にひかれて死んだ。ボクはもうすぐ息を引き取る精かんな猫にそっと前足を乗せた。なにしてると聞かれたので、少し迷って弔っていると答えた。そんなのは人間のすることだと言われた。死は死だ、それ以上でもそれ以下でもないと。でもボクは人間のようにお墓が欲しいと思ったし、弔われて死にたいと思っていた。数時間後精悍な猫は完全に息を引き取った。ボクでは運ぶことはできなかったので、せめて埋められないかと葉っぱや土をかぶせてみる。3度目に往復して葉っぱを持ってきたときだった。精悍な猫のそばに人間の女の子がいた。その女の子は精悍な猫のまえに座って、周りを見た後、かぶせてあった葉っぱをどかした。 (なにをするんだ!)すぐに飛びかかろうとしたら、その女の子は土だらけなのもかまわず精悍な猫を抱えた。大切に抱えていたのに驚いて、ボクはなにもできなかった。そして土だらけの体を抱え、そのまま公園の中の茂みに入り土を掘って埋め、手を合わせるでもなく盛り上げてお墓にするでもなく、手を払ってかけていった。 ボクはその夜、女の子に感謝しながらその上に葉っぱを乗せて眠った。それからボクはそこを寝床にした。たまに女の子は公園に現れた。
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