見知らぬ世界

4/4
前へ
/44ページ
次へ
美恵子には何の事だか分からなかったが、拓也という人物が書いたらしい書き置きを思い出した。 "確か『昨日は悪かった』って書いてあったけど、そのことかしら?" そう思った美恵子は、「う、うん、実はそうなんだ。」と、また、適当に話を合わせた。 「やっぱりそうか」と女性が言うと、美恵子の頭を優しく撫でてくれた。 「よしよし、この紀香(のりか)様にまかせときなさい! 今までだって、何度も美恵子のお悩みは私が解決してきたでしょ。」 そう言うと、紀香という女性はウインクをしてきた。 知らない男に起こされて。 昔の自分に戻ってて。 知らない部屋にいて。 知らない景色が広がっていて。 知らない女性に会って。 分からないだらけの、夢かどうかも定かではない世界。 これから私はどうなるのだろうと、不安や期待など、様々な感情を背に美恵子は紀香と歩きだした。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加