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大学生活へ
紀香はとりあえず大学に行こうと言った。
美恵子は言われるままついていくしかなかった。
風景は知らないけれども、人のかんじや物は、現代と同じであった。
しかし、駅名が知らないものであったり、土地の名前もここらで聞いたことのないものばかりであった。
その一つ一つを不思議そうに見る美恵子に、
「やっぱり今日の美恵子は本当に変。
まるで初めてきた場所を見てるみたい。」
紀香はするどかった。
美恵子は精一杯「何言ってるの。紀香こそ何だか疲れて変なんじゃないの?」
訳の分からない言い訳をすると以外にも、
「やっぱり親友のあんたには分かるかー。」
と、紀香が答えた。
「実は私ね、昨日彼氏にフラれたんだ。
しかも、浮気されてたみたいなの。
でもね、私そのことに対して、何も怒れなかった。
むしろ、それでもいいから側にいさせてって。
本当、私ってなんでこんななんだろ。」
紀香のことをほとんど知らない美恵子であったが、何故か彼女を抱きしめてあげたくなり、そっと胸の中に引き込んだ。
道端であったが、そんなことかまわなかった。
本当の美恵子からすれば、孫ぐらいの子が辛そうなのをほっとけなかった。
紀香は美恵子の腕の中で泣いた。
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