大学生活へ

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化粧が終わると、先程話していた大学にまた向かい始めた。 「ねー、美恵子は卒業したらどうするの?」 道中、紀香が質問してきた。 「どう?って?」 美恵子は首をかしげた。 「私はさ、やっぱり美容系の仕事を目指そうと思う。 大学生活も残すところ後一年。 今はこの時間を心の限り楽しもうと思うけど、 卒業したらもう一度、美容の専門学校に行くつもり。」 それを聞いていると、孫のことを思い出した。 美恵子には女の子の孫がいた。 歳は、22才。 たぶん、今の若返った美恵子ぐらいだと思う。 その孫も大学生なのだが、進路について母親と対立しているみたいであった。 しかし、美恵子はあまり話も良く聞かず、勝手に母親の方が正しいことを言っているはずだと思い、孫に相談されても聞く耳をもたなかった。 それが、今、紀香の話を聞いて、夢を見て、その夢に向かって走ることも悪いことではないように思えた。 親からすれば安全な道を進んでもらいたくなるが、本当にそれがその子のためになるのか分からない。 紀香の目は、それを物語っていた。 「そっか、そういう道も悪くないかもね。 あの子の話を私もちゃんと聞いてあげなきゃな。」 美恵子は今度孫に会った時のことを思い、そう言葉にした。 「え?あの子って誰?     
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