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食堂からの目覚め
美恵子は拓哉がくれた五百円で、ランチ定食を買い食べた。
食べている間、紀香が色々と話しかけてきたが、未だに手の中のぬくもりが忘れられない美恵子は上の空だった。
"あの人は私の何なんだろう?
紀香やあの人の話からすると、やっぱり私とあの人はお付き合いしているのかしら?
でも、駄目よ。亡くなったとは言え、私にはお父さんがいる。
それに私はもうおばーちゃんよ。
見た目は若くても、孫と同じような年頃の子と付き合うだなんて。
よし、決めたわ。夢だかなんだか分からないけど、あの人ともしお付き合いしているのであれば、きちんとお別れしましょう。"
美恵子はそう決めると、一人頷いた。
「ねーちょっと、美恵子聞いてるの?
元気そうに見えても私、昨日失恋したばかりの乙女なの。
今日一日ぐらい、私を励ますなり、応援するなりしてよね。」
そう言う紀香は、お得意の頬をプクっと膨らませた。
「ごめんね。」と苦笑いした美恵子は、定食の最後一口を口に入れた。
いつの間にか学食いた大勢の学生は、半分近くいなくなっていた。
「あ、いっけなーい、もうこんな時間だ!
ごめん美恵子、私これから授業行かなきゃだから、また後でね!」
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