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紀香は慌てながら美恵子を一人学食に置いて行ってしまった。
一人置いていかれた美恵子はどうしようかと考えていると、急に眠気が襲ってきた。
お昼ご飯を食べたせいかと思ったが、それにしてはウトウトするという次元ではなく、誰かに殴られ気絶するって言うのはこう言うことなのだろうか思えるぐらいのものだった。
そして、美恵子はそのまま食堂の机に眠ってしまった。
「お母さん、お母さん?
もう、お母さん?」
美恵子はその声で目が覚めた。
美恵子は食堂で寝てしまったと思い、「ごめんなさい、今起きますから。」
と言って起きた。
「ちょっと、何で敬語なのよ。
別にここはお母さんの家なんだから、好きなだけいつまでも寝ていていいわよ。
ただ、私もそろそろ家に帰らなきゃだから、起こすの悪いと思いつつ声かけたの。」
見るとそこには美恵子の娘がいた。
「え、ここは?」
そう言いながら辺りを見渡すと、良く知った美恵子の部屋だった。
そして、手を見ると、そこにも、もうすっかりと見慣れ馴染んだシワシワの手があった。
美恵子は若かりし昔の自分から、老婆である今の自分に戻っていることに気づいた。
とたん、体の節々が固く、所々痛みを感じた。
「もー、お母さん冗談はやめて。
ここはあなたの家でしょ。
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