1人が本棚に入れています
本棚に追加
青年は美恵子の返事を聞くと立ち去ろうと後ろを振り向く。
そんな青年に美恵子はハッとなり、急いで一つの質問をぶつけた。
「あなた、お名前は?」
その質問に青年は軽く振り返り、
「拓哉です。
溝口拓哉!!」
と、言葉を返し、そのまま走り去っていった。
美恵子は拓哉と名乗る青年の走り去る背を見つめながら、青年が握った手の温もりの余韻を感じていた。
そして、同時にもう一人の、夢の中の拓哉と名乗る青年が渡してくれた、五百円玉の温もりを思い出していた。
最初のコメントを投稿しよう!