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酸いも甘いも
拓哉から告げられ言葉に、美恵子は驚いた。
美恵子自身、拓哉と付き合っているという実感はなく、そんな人から別れ話をされるとは、普通出来ない経験である。
だからなのか、驚きはしたがすぐに冷静になり、質問をする美恵子。
「なんで?」
夢であろうが、訳も分からず付き合っていて、訳も分からず別れるなんてのは、なんだか寝覚めが悪かった。
きちんと理由を聞いて、それから答えを決めようと思って聞いた。
「なんでって。
それがお前のためだと思って。」
"紀香が言っていたことだが、やはり昨日私はこの人と喧嘩したのだろうか?
それがこの別れ話と何か関係あるのかも。"
そう思い、美恵子は拓哉に対し、更に質問を重ねた。
「それって昨日のことが理由なの?」
拓哉は少しうつ向くと、軽く頷いた。
「急にあんな話して悪かったと思ってる。
でも、やっぱり俺さ、夢を諦められないんだわ。
本当はお前に待ってて欲しいけど、それは俺のわがままだ。
だから、せめて別れることによって、お前には新しい人生歩んでもらえればって、そう考えた。」
拓哉にも、紀香のように何か夢があるようだ。
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