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だからこそ、あなたにそんな思いをさせたくないって思うがあまり、強く言ってしまうのよ。
それだけは分かってあげてちょうだいね。」
美恵子の話に春香は頷いた。
「ありがとうおばーちゃん。何だかスッキリした。
実はね、どうしたらいいかなんて聞きながら、心の中では夢を追いかけることを決めていたの。それでも、やっぱり失敗することをどこか恐れている自分がいた。
でも、おばーちゃんが言ってた通り、今しかないんだよね。
やらないで後悔するぐらいなら、やって後悔したい。私はそう思う。
それでいつしかお母さんに認めてもらえるようなアナウンサーになる。
駄目なら良い男見つけて、結婚して、それで子どもを産んで、いつしかおばーちゃんみたいに年をとってゆっくり過ごす。
あー、でもおばーちゃんみたいに旦那で苦労する人生になったらどうしよう。」
そう言って春香は笑った。
美恵子もそんな春香の笑顔に応えるように笑う。
肌寒い冬風の中に、暖かな春風が一瞬吹いたような気がした。
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