1人が本棚に入れています
本棚に追加
老婆は、訳がわからず、とにかく娘に知らせて、警察を呼ばなければと思いベットから起き上がろうとした。
しかし、何か違和感を感じた。
辺りを見回すと、その違和感の原因が分かった。
そこは、いつもの自分の部屋ではなかったのだ。
一瞬、自分は誰かに連れ去られたのかと思ったが、自分が連れ去られる理由は一つも思い浮かばなかった。
とにかく、この部屋から出なければと思い、いつも使っている杖を取ろうと、ベットから起き上がり、急いで杖を取る。
ただ、そこに杖はなく、手は宙を切り、その勢いで転んでしまった。
年をとってから転ぶのが一番危ないと医者にも言われていた老婆は、もしかしてどこか痛めたかもしれないと思った。
ただ、不思議と体のどこにも痛みはなく、むしろいつもより体が軽やかな気がした。
老婆は体の異変を感じ一番見やすい手を見てみた。
そこには、シワだらけだった手ではなく、ツヤツヤな手があった。
それに驚き、次はズボンのすそをめくり、足を見た。
そこにもやはり、張りのある若い足があった。
それから、体のあらゆる所を見たが、全てが若返っていたのだ。
最後に、近くにあった手鏡を取り、おそるおそる覗いて見た。
すると、そこには、若かりし自分の顔が映っていた。
はっきりとは覚えていないが、二十歳ぐらいの頃の自分だろうか。
最初のコメントを投稿しよう!