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それを見て、不意に殺意が湧いてきた。
それはよくあるファッション指南の記事だった。しかし、目玉の大きさや服の色合いで本当に人からの愛され度が変わるだろうか。
否。
そんなわけがない。
大事なのはファッションじゃない。
「ただいまー。あれ、お姉ちゃん何してんの」
美羽が部屋に入ってきたので、私は慌てて雑誌を閉じた。
しかし私が雑誌を見ていたのはバレバレのようだ。美羽は制服のブレザーを脱ぎながらくすくすと笑っている。
「あ、それ読みたかったら持っていっていいよー。お姉ちゃんってそういうの興味あるんだね。私はまだオシャレとかよく分かんないけど、今月号はマミリンが表紙だったからつい買っちゃったのー。あーあ、私もマミリンみたいにかわいく生まれたかったなあ」
そう言う美羽の顔を、私はじっと見つめた。
そこには同じ血が通っているとは思えない、アイドル顔負けの美少女がいた。
二重ぱっちりのくりくりした瞳。化粧をしていないのにいつもピンク色に染まっている頬。髪は私と同じ天然パーマなのに、絶えずボンバーしている私とは違い、アイロンでセットしたかのような美しいウェーブで艶めいている。
正直、雑誌の表紙を飾る読者モデルよりもずっと可愛い。
私は耐えきれなくなり、発狂してしまった。
「……何よー! 美羽のクソ馬鹿ハゲやろー!」
「えっ、お姉ちゃんどうしたの!?」
美羽の言葉を振り切り、私は泣きながら部屋を飛び出した。
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