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――愛され度とは即ち、顔面レベルの高さである。
それが十五年生きてきた私の結論だった。
ひとつ年下の美羽は、私と同じ親から生まれたとは思えないほどに可愛かった。その可愛さといったら凄まじく、美羽は私と関わる全ての男性を虜にしながら生きてきた。
幼稚園の頃好きだったハルキくんも。小学生の頃気になっていたカナタくんも。中学校のクラスメイトのアキラくんもコウキくんも、塾のアキシマ先生も。みんな美羽のことが好きになった。美羽は無駄にシスコンで、よく私とともに行動しようとするものだから、私の人間関係に対する美羽の侵食具合は相当なものだった。
可愛ければ愛される。美しくあれば愛される。
私は十五にしてそう悟った。メイクやらファッションといった小手先の技術は所詮後付けであり、持って生まれた素材のよさには敵わない。
つまりは、顔面レベルが20の私がオシャレにより21になろうが、元々レベル100の美羽には敵わない。
ブスはどんなに努力しても愛され乙女などにはならない……それが私の結論である。
「ねえ翔太。愛され乙女になる方法ってなんだと思う?」
私はちょうど家から出てきた翔太に問いかけた。
時刻は夜の八時になっていた。日は暮れ、住宅街であるこの辺りはもう玄関の照明とぽつりぽつりとした街灯の明かりしかない。私は電柱の下、闇夜に紛れるようにして立っていた。
翔太は私の存在に気付くと、ヒッと声を上げた。
「え? かず子? なんでお前ここにいんの? ていうかいきなりなんの話? ていうか何そのカッコ?」
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