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かくして、急遽家具売り場で高額な二段ベッドと、香枚井高等学校の女子制服やカジュアルや、なんじゃかんじゃを買う羽目になり、オレはベッドの上段、彼女はベッドの下段で眠ることになった。つまり、二段ベッドの階段の所有権は彼女にあり、絶対にオレを夜な夜な着地させない、間違いを起こさせないように、オレの知らないところで、オレの知らない生活の段取りが、オレの許可なくちゃっちゃと決定づけられていった。
「何だか、急ににぎやかになったよね」
「ええ、まあね」
「何他人行儀になってんの雅美!」
「あ、秋本さん?」
「美也子でいいわよ別に、堅くなんないで、リラーックス」
「は、ははは……リラックスねえ」
「友達、まだでしょ。なってあげてもいいよ」
「本当? あ、どうも、照れるなあ」
夜は更けた。みんなは帰った。夜、美也子のパジャマに着替えた異性のオレが、ユニットバスの折り戸を開いてこちらに歩いてきた。
「ねー雅美さん」
「んだよ」
「変なことしないでしょうね」
「お前に欲情するのは、ひいては、異性のオレに欲情するのと同じ。だから自慰行為と変わらん。興味ないね」
「うそばっかり」
「って、お前ー!」
「何顔赤くしてムキんなってんのよ。ガキー、子供ー」
「あー、くそ、もう寝る!」
「あ、そ、おやすみ、片割れ」
「か、片割れって……」
「はしご、取るわよ」
「とれよ勝手に」
「変なことしたら、下から刺してやる」
「あぶねえなあ」
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