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「ねえ、知ってる?」
「なになに?」
小学校の通学路。時刻は午後四時。
季節もあってか、辺りはもう既に薄暗い。
街頭に灯が灯り、彼女たちの足下を僅かに照らしている。
彼女たち、すなわち小学生女子二人組。二人ともぴかぴか光る赤いランドセルを背負い、可愛らしいお下げを垂らしている。
どうやら噂話をしているらしい。身を寄せ合ってこそこそと声を潜めている。
「あのね、宇宙人が地球を乗っ取るらしいの!」
「えー、嘘だぁ!」
声を潜めたのもつかの間、片方の少女が大きな声で笑い始めた。
「私知ってるよ、宇宙人とかって全部空想上の生き物なんだよっ」
「そんなこと無いもん! パパ言ってたよ、地球侵略のために宇宙から色んなものが送り込まれてるんだもん!」
それでも尚、嘘だ嘘だと首を振る片割れ。もう片方は納得させようと色々な説を持ち出しているようだ。といっても、全部噂話、都市伝説みたいなものだけど。
「本当だもん! 虫とか、木とか、他にも色々宇宙から送られてきたんだもん!」
「そんなわけ無いじゃん、作り話だよう」
そんな中、てちてちと足音を立てて彼女たちに近寄るモノがいた。
平穏ないつも通りの日常が不意に乱される。それは――
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