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僕は、いわゆるゲイで男性が恋愛対象な人間だ。
自覚したのは、高校生の頃だった。目の前のこいつ、柳田 隆を好きになってしまったことから、僕のゲイ人生がスタートした。
あの頃は、とにかく混乱と自分の気持ちを秘めていることが苦しくて、後先考えもせず気づいたら勢いで告白してしまっていた。まぁ、結果はあっさりフラれたのだけど、今もこうして情けない話を、顔をしかめながらも聞いて付き合ってくれている。こんな関係、奇跡に近い。
「そういや、フラれた時はいつも相手の写真見せてくれてたけど、今回は付き合ってたわけじゃないから、写真とかないのか」
「あぁ、合同飲み会での写真が、あった、かも」
スマートフォンに手を伸ばし、ロック解除しようと打ち込みなれた高槻さんの誕生日4ケタを入力する。…が、はじかれてしまった。そういえば、数日前に変更したばかりだった。
「ほら、この、袖をまくってビールジョッキ片手に持ってる、白シャツの人」
「どれ…、あぁ、この人。なんか、前回見せてもらった時も、こんな感じの人じゃなかったか」
「そうかな」
「白いシャツが似合う、ぴしっとした精悍で…真面目そうな」
言われてみれば、そうかもしれない。だいたい好きになるのは年上で、落ち着いた静かな人が多かった。そこにどんな憧れがあるのかは自分でも分からないが、どうしてだか惹かれてしまう。
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