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僕はしばしば、泣く
「泣くくらいなら、やめなければ良かったのに」
コーヒーカップ片手に足を組みながら失礼な態度で僕の打ち明け話を聞く友人は、
「またか」と大げさにあきれた顔をして言った。
自分でもわからない。好きだったけど、どうしてもつらかったんだ。
仕事、つらかった。
あの人は、好きだった。
「ダメなんだ。会社にいると、何にもできない」
「晴彦、おまえそんなに協調性ない奴だったっけ」
「お前なぁ…、もっと言い方ないのかよ」
「悪い。毎年クラス委員をやってたような奴が、どうしてかなって。
ただ疑問なだけだよ。人に指示することはできても、指示されることは苦手なのか」
「…それって聞きようによっては最悪な人間、だ」
「そんなに落ち込むなよな。次の職場にも、きっと男前はいるぞ」
…落ち込むなと言われても、落ち込むさ。現に僕の目の前は涙が広がって
手元のホットココアはすでにおぼろげだ。
…あ、涙落ちた。
俯けばうつむくほど、大粒の涙が落ちる。静かに、落ちる。
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