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遠くから除夜の鐘が響いてきた。
「散歩がてらビールでも
買いに行くかな」
マンションを出ると
いつもより多い人通り。
(初詣・・・毎年母さんと行ってたなあ)
懐かしい母との思い出と、
ゴーン・・・ゴーンを相手にしつつ、
少し遠いコンビニまで散歩。
歩いたことのない路地など歩いて・・・。
ついぼんやりしていたせいか、
楽し気に笑い合う二人連れに
腕が当たってしまった。
「ごめんなさい」
慌てて謝ったが反応なし。
二人は私の詫びの言葉も、
たぶん当たってしまったことすら
気付かぬ様子。
抱き合いながら笑い合い、
行ってしまった。
足が止まった・・・。
「人ごみに 押されし我が身
ひとりぼっち」
あの一行が私の中を吹き抜ける・・・。
その角を曲がれば新しい道は
見えてくるのだろうか・・・。
ー 了 ー
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