ただ歩く、独り。

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母の期待通り大学を卒業、 小学校教員になり、 安定した給料も入るようになったので、 「仕事を減らせば?」 母に薦めたが、 「まだまだあなたが結婚するまでは」 そう言って変わらず 仕事に励んでいた母。 期待にそいたいが、結婚の兆しはなし。 大学時代、勤めてからも、 恋人らしき相手も出来た。 ただ結婚には至らなかった。 何が原因ともなく、 いつも恋は私から静かに去っていった。 私が三十になった日、 「マンションを買おう」 母が言い出した。 手付かずの父の保険金と 自分の蓄えを頭金にして 「これでお婿さんもローンが楽だから」 おそらく結婚適齢期を過ぎつつある 娘の持参金代わりと思ったのだろう・・・ しかし”縁”には授からず 来年には四十になろうという中、 母は突然、父のところへ 旅立ってしまった・・・。
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