どこ。

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「さぁて、そろそろ時間ですよ!何が起きるか楽しみですねー!」  トイレの中で一人喋ってるとかちょっと恥ずかしいな、なんて思いつつ――私はその瞬間を待った。四時四十四分。あと十秒。五、四、三、二、一――。 「……………………………………………………………………」  しん、と辺りは静まり返っている。  特に何も――起きる気配は、ない。 「はぁぁぁぁー」  薄暗いトイレの中、私はいかにも残念そうにため息を吐いて見せた。 「なーんも起きませんねー。……まあ結局こんなもんですよね、七不思議なんて。ミホを応援してくれてるみんなー、がっかりさせちゃってごめんなさーい!じゃあ、一応外に出てみますねー」  特に足音が聞こえてくるとか、水が溢れてくるとか、誰かの声が聞こえるなんてサービスもなし。つまらない。非常につまらない。結局デマなんじゃん、と重いながら私はトイレの鍵を開け、外に出た。  オレンジ色の光に照らされたトイレは、予想以上に明るい。ホラーらしさないですねぇ、なんてことを言いながら、私は廊下に出る。  夕焼けに照らされた、長く長く延びる廊下を見て――あれ?と首を傾げた。そういえば、今日は夜までずっと曇りの予報だったはずなのだが――いつの間に晴れたんだろうか。 ――まぁ、いいや。これ以上面白いこともなさそうだし、ここらで終わりにしちゃおう。 「残念ながら今回は空振りでしたがー!また次の七不思議にも挑戦していきますので!楽しみにしてくださる方、これからもミホを応援してくれる方はーゼヒゼヒチャンネル登録お願いしまーす!ばいばいっ!」  そこで動画の録画を切った。――あ、最後に私の可愛い姿をもう一度フレームに収めれば良かった、と思ったが後の祭りである。まあいい、動画を編集した最後に、部屋で録った可愛い写真の一枚でも挿入すれば充分だろう。  オレンジ色の世界を、私は自分の教室に向かって戻っていく。次に来る時は必ずカメラマン役としてジュンヤを呼びだそう、ナナやマユカも一緒に誘ってわいわいやるのも楽しいかもしれない。そんなことを考えながら私は自分の教室に入ると、ランドセルやらなんやらの私物を回収して昇降口に向かった。
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