どこ。

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「今日はもういきなりですが!ウチの学校で一番ナゾな七不思議スポットに突撃しちゃいまーす!ズバリ、四階の女子トイレでっす!」  教室の机にセットした台座からスマートフォンを外すと、ナレーションしながら私は歩き始めた。何が一番残念かって、撮影していると映像に私が映り込めないことである。こんなことなら、いつもビクビクしてる気弱なジュンヤあたりでも引っ張ってきて、カメラマンとして使ってやれば良かった。見ているだけでイラつくあいつは、私の言うことならなんだって聞くと知っているのだから。 「このガッコにも例のごとく古臭い七不思議はあるんですがー。一番ナゾでイミフなのが四階の女子トイレなんですねー。ぶっちゃけ、何が起こるかまったくわからないんです!」  どうせなら夕焼けの方が雰囲気が出たというのに。残念ながら今日は昼から曇り空である。オウマガトキ?だとかなんとかの雰囲気がまるで出てくれそうにない。  薄暗く、電灯が照らすばかりの廊下をゆっくりと歩くのは、いわゆる時間稼ぎというやつだ。この七不思議を調べるには、時間が非常に大きな意味を持っているのである。 「なんでも、四階の女子トイレの手前から四番目!そこに、四時四十四分に入ってはいけない…だとかなんとか、えらい霊能者さんが言ったらしくて!でもなんで入っちゃいけないのかもわかんないんですよ。花子サンでも出るんですかねぇー?今時流行らないし、そんな面白くない話じゃないとは思うんですけどねー」  可愛く結ってもらったポニーテルを揺らしながら、私はいつもより大仰なしゃべり方を心掛ける。もちろん、ばっちり声も作っている。魔法少女のアニメの女の子のような可愛い声を意図的に作っていた。やっぱり、そういう声の方がみんなにモテるのだろうし、なんなら声優として才能を見出だして貰えたら嬉しいという意図もある。 ――しっかし、なんで“何が起きるかわからない”なんてオチにしちゃうかな…ていうか、オチらしいオチついてないじゃん。他の七不思議は、やれ人体模型が動くだとか音楽室のベートーベンが笑うとか、具体的なオチがついてるのにさ。
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