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――BGMどうしようかなー。AKBのオシャレな曲とか使っちゃおうかなー。ようつべで落とした奴使ってもいいよね?著作権とかうんたらとか、部分的に切り取ればバレないよねきっと!
「……え?」
異変に気付いたのは――出口の扉がしまっていることを知った時だ。
「あ、あれ?なんで、え?か、鍵……鍵、かかってないのに、なんで…?え?」
どう見たっておかしい。昇降口の鍵は内側から開けられる仕組みになっている。そして、実際鍵のバーは上に上がったまま――つまり開いている状態なのだ。なんで扉が開かないのだろう。どこがひっかかってしまっているのだろうか?それにしては――まるでそこに見えない透明な壁があって、そこにぴったりと扉が張り付いてしまっているかのようなのだが。
「そ、そんなわけないよね!立て付けが悪いだけよ、きっと!うん!」
自分に言い聞かせるように声に出して、私は他の昇降口に回ることにした。きっと、たまたま此処だけが開かなかったのだ。そうに決まっている。――焦るように靴を持って、別の出口に向けて走る――走る。不気味なほど赤い廊下を、ただひたすらに。
そして、現実を――知るのだ。
「あ、開かない……っ」
どこの昇降口も閉まっている。
それどころか窓さえ、ぴったりと空間に張り付いているかのように開く気配がない。
「開かない……開かない開かない開かない開かない開かない開かないっ!なんで……ねぇなんでっ!?!?」
バンバンと扉を叩いても、ガラスに拳を叩きつけても。割れる気配はおろか、皹さえ入る様子がない。小学生の女子の力などたかが知れたものかもしれないが、これでも私はクラスで一番体が大きいのだ。男の子と腕相撲して負けたこともないというのに!
――だ、誰か助けてっ!お母さん……お父さんっ!私、閉じ込められちゃった……!!
どうしてだろう。
トイレに行くまでは確かに職員室に先生達がたくさんいたのに――なんでさっきは誰の姿も見かけなかったのだろう。がらんとした部屋の、どこを探しても誰の姿も見えないのだろう。
どうして。ああ、どうして。
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