最終章 『5月、君に、伝える』

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~一大地~  鎌堂と鮎原さん、そして俺と驛さんの四人で、山岡の住むマンションを訪ねたのは七月に入ったばかりの頃で、妻のリカさんがにこやかに招き入れてくれた。  この間は山岡を抜きにした四人でも集まり、鮎原さんはもうサッパリした表情で接してくれて、俺と驛さんが付き合うようになってからは、気を利かせて遠慮してくれているのは見ていて分かった。  でも、驛さんと話をする鮎原さんの様子は優しくて、こういう人が驛さんの友達で良かったな、と思うのと同時に、鮎原さんはさっそく新しい好きな人ができたと言っていたものの、言い方はわざとらしかったし、これこそまた気を使って嘘をついてくれているのかもしれない。
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