最終章 『5月、君に、伝える』

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 リビングに戻った俺達は、シュークリームや出してもらった紅茶を飲みながら談笑するが、以前はこんな時間も苦痛だった。  人に接するのが億劫で、接客の仕事柄愛想良くしているつもりでも、顔に出ていた部分もあったのでは……?  全ての人間に触れて平気になることはないと思うけれど、俺は驛さんと付き合い始めて考え方を変えようとしている自分、嫌いじゃないな。 「食べないならもーらいっ」  ……と、俺の前に置かれた小皿に入ったシュークリームを取り上げた鎌堂が、バクッと大きな口で半分を飲み込み、時既に遅し。
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