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第1章 勃発
葵は本を沢山乗せたカートを押し、受付カウンターからフロアに出る。
棚へと本を戻しながら、葵は図書館に要が来てくれた時をふと思い出す。
1ヶ月ちょっと前、まだ要のことを好きだと自覚できてない頃だった。
ただ逢いたいと、そんな思いを持て余し、戸惑っていた頃。
(今も大して変わらないかな)
思いを持て余すところも、全然自分の思いを掴めないところも、あの頃から成長がない。
そんな葵を要はずっと支えてくれている。
この図書館も1ヶ月の休職後に戻ると、経営者が西園寺グループに移行していた。
少し離れた閲覧エリアのソファにもたれ、和希が手を振る。
おかげで、和希は職員IDをつけて大きな顔でフロアにいるのだ。
葵は和希に手を振り返し、棚の間を進む。
休職して半月経った頃に、図書館の仕事に戻りたいかと要から問われた事がある。
だからきっと要の根回しなのだ。
その要が昨日戻ってきてからどこか上の空で、考えこんでいる。
堂形 深鈴の依頼内容としては、簡単に言うとストーカーからの警護で、要と和希と篠宮で当面は堂形 深鈴の警護に当たると言う。
別に、要が始終ずっと堂形 深鈴を警護する訳ではないけれど…
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