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―架空の都市・摩歩呂〈まぼろ〉にあるとある少年の家―
「ぐ~が~…ん?今何時だぁ?」
部屋の時計は七時を指していた。ちなみに、入学式が始まるのは8時、新入生登校完了時刻は7時半である。
「あーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
この部屋の持ち主で本作の主人公の虎島壊斗は慌てて跳ね起きた。
(ヤバい…ヤバいヤバいヤバいヤバい…入学式から遅刻って、ヤバすぎだろオレ!とにかく今は急げ!走れば間に合う!)
壊斗は物凄い速さで朝食、着替えなどを済ませ、家を出てすぐに自転車よりも速く走り、学校へと向かった。
―その道中―
『タス…ケテ』
(今、どっかで声がしたような気がする…って、バカかオレ!悪いが他を当たれ、オレ行くとこあるから!)
壊斗は見えないものの声を聞いたが、どこから発せられたものかは分からなかったため、先を急いだ。
―摩歩呂高等学校1-A教室―
「ぐぁ~っ、間に合えぇっ!」
壊斗は勢いよくスライディングした。もちろん彼は教室内の注目の的になった。
「壊斗、大丈…夫?」
「唯かよ…オレは大丈夫だ。」
唯とは彼の幼馴染みの少女で、幼少時から無茶の連続だった彼のストッパーでもある。
「どこがよ!制服のボタンは全部つけてないし、て言うか全身ホコリまみれじゃん!」
「あ~も~うるせぇよ、バカ!オレはオマエが思ってるよりもガキじゃねぇんだ!」
「ほら、ホコリとるからじっとして…」
「「あ…」」
周りのクラスメイト達は唯と壊斗のやり取りを見てざわついた。
「オマエのせいで変な目で見られてんじゃん、どうしてくれんだよぉ!」
「壊斗がそもそもスライディングなんてするのが悪いんでしょ?」
「あ~はいはい分かりましたよ、以後気を付けますぅー。」
「ふてくされなくてもいいじゃん…」
その後、壊斗達は担任の先生らしき人に連れられ、入学式が行われる体育館へと向かった。
―体育館―
(さすが入学式…小中高と一貫して校長の話は長い…だけど、今日は違う。今朝のあの声のこと考えたらなぜか苦に感じない。)
壊斗は校長の話には全く耳を傾けることなくただただ今朝の声について考えていた。
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