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―翌朝、海神の家―
「もうほとんど感じんくなったけど、町の廃工場の方にレイカちゃんの気配がする。」
「そっか、ありがとな海神!」
「協力してほしいって頼まれたんや。このくらい当然やろ?」
「よし、さっさと準備して学校でより確かな情報を集めよう!」
「せやな。気配だけを頼るのはあんま得策とは言えへんからな。」
二人は制服に着替えると、足早に学校へ向かった。
―とある廃工場―
「いいか二人とも。オレは今から学校にいってくる。その間、助けを呼ばれちゃ困るから、こうさせてもらうよ。」
黄土色の髪の少年は唯のスカートのポケットに手を入れ、スマホを取った。そしてそのスマホの電源を切った上、彼女の手の届かないところに置いた。
「のこのこ騙されるから悪いんだよ、キミ達。」
「ねえ待って、ワタシ達に何する気なの?壊斗達に何かしたら許さないからね!」
「何とでも言えよ。あんなイキってるヤツなんか、いつでも殴り倒せるんだよ。ましてやオレは、生徒会の議長なんだ。追放も時間の問題だぜ?」
少年は外にいる仲間とともに廃工場を後にした。
「ねぇレイカちゃん、今壊斗がどこにいるか分かったりする?」
「ごめんね唯、ワタシ今こんな姿だから、もうどうしようもできないよぉ~…」
「えぇ~…どうするのよ…」
「きょ、今日は絶対来るよ。だって分かるもん、壊斗が優しい人だってこと。」
―その後、1-A教室―
教室には唯とレイカはいなかった。というか本人達は元気だが、体調不良で欠席扱いになっていた。
「一体何がどうなったら二人が体調不良扱いされるんだよ…」
「オレにもよく分からへんけど、裏に何かあるのはもう確かや。」
「ちょ、どういうこと?」
「さっきも言ったけど、二人は一緒に行動しとった。そして何らかの出来事で廃工場に向かったってとこやろ。」
「いやいや待て待て!なんで廃工場に行く必要があるんだよ!」
「さっきからそこ二人、うるさいぞ!しっかり授業に集中しろ!」
「「すいません!」」
この後、壊斗達は休み時間に聞き込みしてみたものの、有力な情報など手に入るわけもなく、聞くだけムダなまま時間だけが刻一刻と過ぎていった。
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