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ハート合戦
山本の姉さんは帰り間際、今日の記念だよといって部屋のカレンダーにハートのシールを貼った。僕はそれがどういう意味を持つのか、その時点ではわかっていなかった。
次の朝、月曜日は大学は遅くから授業がはじまるから油断して目覚ましはかけないでいた。
優しい声と髪を撫でる手。
「姉さん?」
睡魔と戦いながらなんとか声をひねり出すと
「そう。姉さんだよ。起きなきゃだめだよ?私を楽しませてくれなくちゃ。」
髪を撫でる手は優しく首筋をくすぐる。
ん、声が違くないか?あ、ああミナセか。
僕はガバッと起きると、あわてて男の生理現象を隠す。
「元気ですね。智史さん。」
ミナセはそんな僕の様子をからかう。
「立山さん。だろ?」
不機嫌さを隠さず僕は言った。
すると水瀬は相変わらず、僕をいじめてきた。
「いいの。立山さん。私、嘘の報告をお父様に差し上げてもいいのよ?無理やり手篭めにされたって。」
「……。親父はそんなこと真面目に受け取らないだろ?」
あの豪放磊落な父はむしろ喜ぶだろう。息子が成長したとか言って。
「だからー。いいんですか?次なる刺客が送られてきても?ふふ、智史さんが何人まで妾を取れるか試しているんですよ?わかっているんでしょ。」
といって僕からやや斜めに視線をそらす。
その先にはカレンダーがあった。ハートのマークのシールが山本姉さんとの関係があった日を示すものとして貼られて居るということに僕もその視線をおって、気づいてしまった。
なぜなら、ミナセが対抗意識を燃やしているのがわかったからだ。
「立山さん。今日のノルマは最低2枚ですよ?」
なにを言っているの。昨日の今日で2回しろと?
「そもそも2回は無理だし、自分で処理していい?隣の部屋言ってくるから」
僕は怒って席を立ちミナセの視界から去る。隣の部屋に入る。
……。しばらく、本を読むと。処理したふりだけして部屋に戻る。
するとミナセはあろうこともないセクシーな赤いベビードール姿で待っていた。
「立山さん。お仕置きの時間ですよ。処理したモノを見せていただけますか?してないのでしょう。」
僕は彼女を無視して慌てて玄関に向かい。大学に出かける。
(可愛いー。悟の子だなんて信じられない。最後に食べたい美味しそうなデザートって感じの子ね)
ミナセは容赦無くカレンダーにハートのシールを貼った。
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