最後

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 数分が経過し、注視していた画面に返事が現れた。反応に心が怯えている。だが。 〝辛い経験を話して下さりありがとうございます。言葉では幾らだって言えると思うかもしれない。けど、私はどんな顔でも貴方が好きです。私は貴方の内面が好きだったから。だから、一度だけ会って声が聞いてみたかったんです〟  頬が涙を伝った。嬉し泣きが本当に有るとは思わなかった。  確証を得られなければ実証も出来ない、唯の言葉だ。けれど、その優しさを信じてみたいと思った。  感謝を伝えるべく、言葉を練る。ありがとうだけでは足りないと適切な語句を探す。  見つからないと悩んでいると、文字が現れた。 〝何度もすみません。やっぱり会って頂けませんか?駄目なら今度こそ諦めます〟  いや、SIOは本心で言葉を放っている。建前なら、実際に会おうとは言わないだろう。  とは言え、現実になった時、この顔を見て恐れられない保障はない。  けれど、それでも信じたいと思った。 〝お願いします〟
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