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世間は冷たくて、味方などいないと思っていた。けれども、探せばどこかにはいるのかもしれない。
まだ出会えていないだけで、自分を許してくれる存在はいるのかもしれない。
そんな誰かに出会えたなら、少しの勇気が得られるかもしれない。孤独じゃないと思えるかもしれない。
世界が、何も変わらなくても。
「おーい、迎え来たよー」
背後から声がした。手が離れた隙に慌ててサングラスとマスクを着用する。
振り向くと友人らしき男性が立っていた。軽く会釈をしあう。
「もう時間なんだ……」
表情を曇らせたSIOの、右手に優しく触れた。
「今日はありがとう。少しだけ前向きになれる気がするよ」
「……私もです。本当にありがとうございました。キオさん、お互いこれからも頑張って行きましょうね」
握り返された手の平は、まだ温もりを残していた。その温度が、心まで温める。
「うん、お互いに」
進んでは下がって、悩んで折れて。それでも少しずつ、ほんの少しずつでも前に進んで行こう。
貴方のような人と、出会える事を願って。
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